「ここ、何屋さん?」
「こっちだって知りたいわい!」と笑いながら『キッチンミノウ』のオーナーシェフ新原ノリアキが決まって言う。[英語]
黒板のメニューには「イカのフリット」や「チキンケバブ(自家製ハリッサ付き)」、「麻婆豆腐」など、国際色の料理が和食の定番「鶏皮の味噌煮込み」や「旬の魚の胡麻和え」と仲良く並んで、また尾道名物「でべら」や新原さんの地元である草津の「練り物」などローカルグルメもあり、ひとつのジャンルにくぐることがもはや不可能。
手前はカウンターで奥にはテーブル席がふたつというこぢんまりしたお店。落ち着いた色合いのタイルが厨房の壁を彩り、店内が明るい木材で暖かみを演出。壁には大きな黒板メニューがふたつぶら下げられ、「カツオのタタキ」や「秋刀魚の燻製」、「カキフライ」など季節限定の料理が定番メニューと並び、カウンターには日本酒や焼酎、ウィスキー、クラフトジンなど、さまざまな美味しいお酒がずらり。お料理に合うワインはもちろん、なかなか日本で見かけない「グレナデンソーダ」(ざくろシロップの炭酸割り)などノンアルコールも充実。
日本とフランス・マルセイユの厨房で経験を積んだ新原さんは日本語、英語、フランス語が堪能でチャーミングな性格。お店は一度入ればもう常連だ!というフレンドリーな営業スタイル。そんなウエルカムな雰囲気の中で自然と話に花が咲く。『ミノウ』では、こうした「会話」が料理やドリンクに並ぶ大切な要素のひとつ。パシャパシャとインスタ映えを狙うカメラのシャッター音ではなく、笑い声や盛り上がる会話の音が鳴り響く。ローカル音楽シーンの情報共有の場でもあり、ライブやイベントのチラシが多く、ディープな広島を知る場所としても活躍。
ここまで読んで、「おいおい、グルメ記事だろう?早よ料理の話を!」と思う人がたくさんいるかもしれないけど、『キッチンミノウ』は新原さんなしには語れない。それほどお店の中心的存在であり、その素直で優しい人柄がたくさんの人を引き付ける。一般的な寡黙で頑固なシェフのイメージとは正反対でありながら、料理の腕と自家製へのこだわりは一流シェフ同様。お店で使用されるソースやタレ、ドレッシングなどは全て一からの手作り。チュニジアやモロッコの定番辛口調味料「自家製ハリッサ」と、広島のゆずが香る「自家製ゆず胡椒」には熱狂的なファンがいるほどの圧倒的、そしてクセになる美味しさ。手間暇惜しまず、時間をかけてゆっくり、じっくりと作る。急ぐことなく、焦ることなく、『ミノウ』の料理は欲しいところにグッとくるソウルフード。
友人とゆっくり語り合う場所。初対面のカウンター同士でトークが盛り上がる場所。人と人の繋がりを大切にする場所。そこに「軽快なおしゃべり」と、一口食べれば語りたくなる味わい「豊かなお料理」と、「こだわりのお酒」を少々混ぜれば、繋がりの魔法「ミノウマジック」の出来上がり。
毎月ゲストシェフによる料理イベント開催中!奇数の月にはカレーイベント「サカオカレー」(ft.ゲストシェフとカレーマニアのパパ)、偶数の月にはパイナイト「How do you like pie?」(ft.パイ専門家Hiroshima Food Snob)。いつもと違うメニューが楽しめる一夜限りのイベントにぜひ参加してみてください!次回は2月15日(土)の「How do you like pie?」です!今回はクリーミーチキン&マッシュルームのパイとミンチとじゃがいものカレーパイです。詳しくは『キッチンミノウ』またはフェイスブックまで!
『キッチンミノウ』
住所: 広島市中区八丁堀12-14
Tel: 082-225-8654
営業時間:18時~0時
定休日: 日曜日